K's コンセプト

K’s コンセプト 第2回展示 - 移ろいの色、遥かなる眼差し - について

新しい才能を発見し、世に送り出す「K’s コンセプト」。第2回は小川泰生、伊藤咲穂の二人展を開催いたします。

K’s コンセプト 小川泰生と伊藤咲穂展 ―移ろいの色、遥かなる眼差し―
2016年4月1日(金)~9日(土) 10:00a.m.~7:00p.m.(最終日は 4:00p.m.まで)
レセプションパーティ 4月2日(土)4:00p.m.〜6:00p.m. どなたでもお気軽にご参加ください。
新宿京王プラザホテル ロビーギャラリー


第2回K’s Concept展開催にあたって

第1回K’s Concept展の開催から早くも2年が経ちました。今回、二回目の展覧会を開催できることとなり、大変光栄に存じます。
「K’sコンセプト」は若いアーティストたちの展示機会を少しでも増やしたいとの思いから、恩師、出射先生にアイディアを頂き、2013年に京王プラザホテル・ロビーギャラリーのご賛同を得て始めた企画で、私の心に響いたアーティストの作品展です。
私にとって新しいアーティストとの出会いは、アートの世界の深い広がりを見せてくれるものであり、展覧会を企画することは、私にとって自分の作品を制作することとは違う刺激と喜びを与えてくれるものです。皆さまに私の心に響いたアーティストとその作品をご紹介できることを大変幸せなことと思っております。
今回は、和紙を錆びで染めた作品を作られる伊藤咲穂さんと蝋を使った作品を作られる小川泰生さんに参加をお願いしました。
伊藤さんはご出身の、島根の石州和紙の原料となる楮(コウゾ)を使い独自の手法を用いて手漉きをされますが、その紙は錆和紙(さびわし)と名付けられ、一見するとまるで鉄の錆びた趣を感じさせます。
小川さんは水彩絵具で有機的な形を描き、その表面を薄い蝋で覆う手法を主に用いられます。描かれた絵具の表情は蝋の半透明な膜を通して浮かび上がってきます。
お二人とも自然を意識して制作されていますが、私はお二人の自然と向き合う真摯な態度に感銘を受けました。どちらも強く自己を主張する作品ではないのですが、お二人の柔らかな視線は柔軟性に富んでいます。お二人の作品は現代的な鋭さを希求するものではなくても、普遍的で根源的なものに触れているように私は思います。
また私は、伊藤さんの錆びの作品からは混じり気のない自然の創り出すものの静かな美しさを、小川さんの作品からは柔らかな色彩の心にしみるような美しさを感じます。どちらも見る者を心優しくするそんな力を持つ作品と言えるのではないでしょうか?
共鳴し合うお二人の作品の創り出す、儚さの中にも確かな存在感を感じさせる美しい世界を是非ご堪能頂きたいと思います。
大壁面を飾る大作から卓上に飾ることのできる小さな作品まで、たくさんの作品が展示されますので、ご高覧下さいますことをお願い申し上げます。

2016年4月 柏木美和子

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